加藤崇亮 個展 "Montage" {2022.10.14-10.30}

加藤崇亮 個展 "Montage" {2022.10.14-10.30}

加藤崇亮 個展「Montage」
Kato Takaaki solo exhibition "Montage"

 2022.10.14 Fri -10.30 Sun
13:00 〜 20:00
休館 月曜日・火曜日
Closed on Mon & Tue

会場venue: Feb gallery Tokyo
*ご来場の際にご予約いただく必要はございません。

 

 

 

この度Feb gallery Tokyoでは、アーティスト加藤崇亮(Kato Takaaki)による個展「Montage」展を開催いたします。

 

 ノスタルジックな感傷を誘う淡いイメージの数々。過去を振り返るように遠くを見つめて、絵画作品を仕上げていく加藤崇亮のまなざしは、当展覧会の「Montage」というタイトルにぴったりである。モンタージュとはかつて存在した場所や時間を現在に導入するということだからだ。幼少期に過ごしたヨーロッパでの記憶を現在に導入するかのように加藤はキャンバスに絵具を乗せていく........

 

「Montage」:

①映像の組み合わせによって意味を表現すること。また、その技法。
②写真を合成すること。また、合成された写真。合成写真。

 

 加藤崇亮(Kato Takaaki)の生み出す絵画は上記の①②どちらの意味においても極めてMontage的だ。イメージが一つ提示され、その次にまたイメージが提示されたとき人は、そのイメージとイメージの間に意味を見出さずにはいられない。加藤の絵画作品を目の前にしたとき絵画の中に存在する具体的なイメージとイメージの遠さについて、またその境目について考えてしまう。

 私たちが絵画作品を見るとき、自然と(自動的に)認識している”輪郭”、言い換えると”境界”というものに対して、加藤の絵画は一定の距離をおいて見つめている。加藤の作品の多くはポストカードなどに使われている既存のイメージを分割し再構成したものが多い。絵画を”描いていく”というよりイメージとイメージを貼り合わせるようにして、”組み上げていく”のである。

 加藤の制作姿勢はそのような意味において、コラージュ的ともいえる。白い輪郭線で分割されることによって、奥にあるはずの事物が平面化されてしまい手前にせり出して見えてくる。またある時は輪郭線がぼやかされることにより、手前にあるはずの事物が奥に引っ込んで見えてしまう。加藤の絵画には、このようなイメージを分割し再構成することで生み出される”距離への違和感”がミニマルに、そしてダイレクトに表現されている。その表現手法そのものが極めてMontage的なのである。

 加藤の頭の中でコラージュされ、組み上げられたイメージの数々は、絵具を塗り付ける段階に入ると途端に身体的な要素が導入されていき、変形していく。スポンジで時に叩くように、時にこするように塗りつけられた背景の木々の緑や湖の青は、輪郭を失い変形し、それでも景色の一部として、確かに存在している。描かれる人物は、ニョインと上に伸びて細長くなっている。その人物の輪郭は、加藤のお手製である長い突っ張り棒の先につけた筆で形どられた輪郭である。その輪郭をなぞるとき加藤は遠い目をしている。まるで、過去を思い返すかのような、それでいて、距離と境界を疑って不信がっているかのようなまなざしである。

 "距離と境界の違和感"は、そのまま「Montage 」である。ここで再び「Montage 」について考察を深めていくと、「Montage」は既存のイメージを引用、複製し、再構成する技術であると定義できる。加藤の絵画の制作過程をなぞりながら説明すると、ポストカードを選ぶ(引用)一部をトリミングしてキャンバスに描き付ける(複製)複製したものを分割して配置する(再構成)というようになる。その一連の作業には、常に既存のイメージへの疑いが付きまとう。その疑いの対象そのものを引用し、分割し、再構成していくことで、加藤は自身の認識を世界に問うているのである。それは、彼の絵画を観る我々もまた同時に認識を問われているということでもある。

 距離への違和感、輪郭への違和感、そして空間への違和感。世界への違和感がミニマルにそれでいてダイレクトに表現された加藤の絵画を観たとき、「世界への違和感」それ自体が「世界への信頼」に置き換わってしまったかのような感覚になるのがとても不思議だ。加藤の絵画の中に登場する人物や景色は、かつて、あるポストカードの中の景色の一部でしかなかった。加藤の絵画を観るとき、そのような遠い距離を埋めるクローズアップ的な世界へのまなざしの向け方そのものに救われるのかもしれない。そしてそのまなざしは私たちが加藤の絵画を眺めているときのまなざしに同化するのである。そう、加藤の絵画を目の前にするとき私たちも忘れられた世界へ向ける真摯なまなざしを獲得しているのだ。

 本展覧会では大型の新作を含む15点以上の作品を展示いたします。ぜひお越しくださいませ。

 

 

加藤崇亮 Takaaki Kato
1985年東京生まれ。幼少期をドイツ・デュッセルドルフで過ごす。 
麻布学園、多摩美術大学造形表現学部デザイン科卒業。2012年よりエンライトメントに参加し独立。 チカビ所属。映像的絵画を目指し、時間・映写・記憶をテーマにした絵画を制作している。

instagram: 
tka_ki

"Montage"
加藤崇亮 個展 Kato Takaaki solo exhibition
会期:2022年10月14日(金)- 10月30日(日)
営業時間:13:00 - 20:00
会場:Feb gallery Tokyo
〒1070062東京都港区南青山4-8-25
*ご来場の際にご予約いただく必要はございません

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